--1988年5月26日-- 米ソ比較図表

=加州毎日新聞は1931年から1992年までロサンジェルスで発行された日系新聞です=

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 二十五日の<USAトゥデイ>紙におもしろい米ソ比較図表が掲載されていた。
  
  同紙の説明はこうだ。
  レーガン大統領がモスクワに着いてから見るものは、変わりつつあるソ連。国民は編集者に批判の手紙を寄せるし、テレビで初めてマイケル・ジャクソンを見てもいる、といった具合だ。ソ連の日常生活がどうか、米国と比較してみよう。
  1)少ない給料== 教師の平均給与-- ソ連:三三八〇ドル 米国:三〇五五九ドル
  2)多い農民・少ない食料== 農業労働力-- ソ連:人口の二二% 米国:同三%
  3)五年待ちの新車== クルマの数- ソ連:一一七〇万台 米国:一億三二〇〇万台
  4)ソ連穀物・消費材を輸入、武器・石油を輸出==  貿易総額(ソ連:輸入八〇五億ドル 輸出九一七億ドル 米国:輸入一兆四〇〇〇億ドル 輸出一兆三〇〇〇億ドル
  5)少ないコメディー、多いモスクワニュース== テレビの台数-- ソ連:一億〇一〇〇万台(カラー三八%) 米国:一億四三〇〇万台(カラー八八%)
  6)ソ連にはシリコンヴァレーはない== ソ連の主要製品は技術産品ではなく、鉄鋼、クルマ、セメント、紙といった産業製品。米国との顕著な違いは、米国のほうが多くの食料品・飲料品を生産していること
  7)病院のベッド数が多い== ソ連では米国より長く患者を入院させておくので、ベッド数も米国より多い-- 人口千人当たりのベッド数 ソ連:一二九台 米国:五〇・八台
  8)電話の全国ネットワークがない== 電話の数-- ソ連:二九〇〇万台 米国:一億八二六〇万台
  9)少ないぜいたく品== 耐久消費材の普及率-- 洗濯機 ソ連:五五% 米国:七三% 冷蔵庫 ソ連:九四% 米国一〇〇%
  10)国土の広さ== ソ連:東西六〇〇〇マイル 南北三二〇〇マイル 米国:東西二八〇七マイル 南北一五九八マイル

  ベッド数についての解説がおかしい。「ソ連では米国より長く患者を入院させておくので」というのは事実なのだろうが、その原因・理由をはっきりとさせていないところがいかにも、負けず嫌いの米国の新聞らしい。社会保障の普及度、入院費用の高低、医療技術の上下などの様々な要因は、勝手に読者が考えなさい、といった扱いだ。数字の上で米国が“劣っている”のはこれだけだった。

  二十九日からモスクワでレーガン大統領とゴルバチョフソ連共産党書記長の四回目の日米首脳会談が始まる。今回の会談でのソ連側の目標は「米ソ関係を後戻りできないところまで決定的に転換し、米国の次期政権とのかけ橋を築くことだ」(ソ連のアルバトフ米国カナダ研究所長談−朝日新聞)という。そのために是非とも進展させたいのが戦略核兵器の五〇%削減交渉だ。「ソ連としては、実務レベルでの交渉で浮かんできた障害を、首脳会談における政治判断で解決し、最終合意への道を切り開いていく考えだ」(同)。

  ソ連科学アカデミー社会科学研究所が行った世論調査によると、ソ連人の六七%は現在の米紙関係に「満足」し、八・三%が「良い」と思っている。「悪い」としたのは六%だけだった。